変形性膝関節症

このページは、診察でお渡ししている冊子(日本整形外科学会「変形性膝関節症」)の内容を、図で補足するものです。診察時のご説明とあわせてご覧ください。

1. 変形性膝関節症とは?

膝の骨の表面をおおう軟骨(なんこつ)がすり減って、痛みや変形が起こる病気です。

膝の関節は、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)が向かい合い、その表面をクッションの役目をする軟骨がおおっています。年齢とともに軟骨は弾力を失い、使いすぎで少しずつすり減っていきます。すると骨どうしが近づき、痛み・腫れ(水がたまる)・O脚変形が現れます。女性に多く、年齢が上がるほど増えます

健康な膝 軟骨が厚く、すき間がある 大腿骨 脛骨 軟骨 半月板 変形性膝関節症 軟骨がすり減り、骨どうしが近づく 骨棘(とげ)
左=健康な膝(緑=厚い軟骨・オレンジ=半月板)。右=進んだ膝。軟骨がすり減って骨どうしが近づき、まわりに骨のとげ(骨棘)ができます。

2. 症状は3つの段階で進みます

初期 立ち上がり・歩き始めに痛む 休むと痛みは取れる 中期 正座・階段がつらい 水がたまることも 末期 安静時も痛い・変形 膝が伸びず歩きにくい 早めに対処すると、進行をゆるやかにできます

3. レントゲンでの進み具合(KL分類)

膝のレントゲンで、軟骨のすり減り(骨のすき間)と骨のとげ(骨棘)を見て、進み具合を5段階(グレード0〜IV)で表します。これをKL(ケーエル)分類といいます。治療方針を決める目安になります。

グレード0 正常 グレードI とげの疑い グレードII とげあり・軽い狭小 グレードIII 狭小が明らか グレードIV 骨どうしが接触
レントゲンの模式図。右へ進むほど、骨のすき間(青)が狭くなり、骨のとげ(灰色)が大きくなります。グレードIVでは軟骨がほぼなくなり骨どうしが当たります。

4. 治療 — 軽い方法から段階的に

治療は負担の少ない方法(保存療法)から始め、効果を見ながら段階的に進めます。多くの方は手術をせずに、運動療法・お薬・注射で付き合っていけます。

① リハビリ(運動療法)— 治療の土台

太もも前の筋肉を鍛える 椅子に座って足を水平に伸ばす
太もも前の筋肉(大腿四頭筋)を鍛えると、膝が安定して痛みがやわらぎます。もっとも重要で、続けるほど効きます。

このほか、膝を温める物理療法、足底板(インソール)や膝の装具、体重が多い方の減量も、膝の負担を減らす大切な治療です。

② ヒアルロン酸注射

関節の中に潤滑のお薬を注射
関節の動きをなめらかにし、炎症をやわらげます。数回続けて行うことが多く、痛みの軽い〜中くらいの時期に向いています。

③ PRP(自分の血液を使った注射)

① 採血 少量の血液 ② 遠心分離 成分を取り出す ③ 濃縮した成分 修復を助ける成分 ④ 膝に注射
自分の血液から、修復を助ける成分を取り出して膝に注射する方法です。炎症をやわらげる効果が期待されます。自由診療(保険外)で、向き不向きがあるため診察でご相談ください。

PRPについて、適応・効きやすさ・費用などをくわしく知りたい方は 膝のPRP治療のページ をご覧ください。

④ 手術

骨切り術 骨を切り、角度を矯正 人工膝関節 傷んだ関節を金属に置き換え
保存療法で改善しない場合の選択肢です。骨切り術(自分の関節を残して脚の傾きを直す)や人工膝関節(傷んだ関節を金属に置き換える)などがあります。必要な場合は専門施設をご紹介します。

5. 毎日の生活でできること

太もも
トレーニング
前の筋肉を鍛えて膝を安定させます
体重を
減らす
1kg減ると膝の負担は歩行時に数kg軽くなります
膝を
温める
冷やさず血行をよくします(急な腫れ・熱感時は冷やす)
正座を
さける
洋式トイレ・椅子の生活で膝の曲げ負担を減らします

6. 大切なこと

変形性膝関節症は「付き合っていく」病気です。 多くは手術をせずに、運動療法・お薬・注射で痛みをコントロールできます。早めに始めるほど進行をゆるやかにでき、生活の質を保てます。気になる点は遠慮なく診察でご相談ください。
日本整形外科学会「変形性膝関節症」 お渡しした冊子と同じ内容を学会の公式ページでもご覧いただけます(外部リンク)

※この記事は一般的な情報であり、個別の診断・治療方針に代わるものではありません。PRPなど自由診療の適応・費用は診察でご確認ください。

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