五十肩(肩関節周囲炎)- 病気別の治療とリハビリ-

『腕が上がらない』『夜、肩がうずいて眠れない』— 五十肩は時期によって治療がまったく変わる病気です。3つの病期と、注射・サイレントマニピュレーション・リハビリについて図解で解説します。

このページは、診察でお渡ししている冊子(日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」)の内容を、図で補足するものです。診察時の説明とあわせてご覧ください。

1. どのような症状が出ますか?

主な症状は「動かすと痛む」「動きが悪くなる」「夜に痛む」の3つです。

髪を整える・服を着替える動作で痛む 夜にうずいて目が覚めることも
進行すると、痛みだけでなく「腕が上がらない・後ろに回らない」という動きの制限が中心になります。

2. なぜ起こるのですか?

肩の関節を包む袋(関節包)に炎症が起こり、袋が厚く・硬く縮んでしまう病気です。

健康な肩 関節包にゆとりがあり、よく動く 五十肩の肩 関節包が厚く硬く縮み、動きを妨げる 肩甲骨 肩峰(屋根) 上腕骨 関節包
40〜60歳代に多く、はっきりした きっかけなく始まることがほとんどです。糖尿病のある方は長引きやすいことが知られています。

3. どのような検査をしますか?

「五十肩と思っていたら別の病気だった」ということが少なくないため、最初にほかの病気と区別することが大切です。

肩の痛み 診察 + レントゲン + エコー (必要に応じて MRI) 石灰性腱炎 腱に石灰がたまる 五十肩(関節包の炎症) 今回のご説明はこちら 腱板断裂 腱が切れている
エコーでは、腱が切れていないか・石灰がないか・関節包の炎症があるかを、その場で痛みなく確認できます(放射線は使いません)。

石灰性腱炎については こちらの解説ページ をご覧ください。

4. 経過 — 3つの時期があります

① 炎症期 夜も痛む時期 数週間〜数か月 ② 拘縮期 硬くて上がらない 数か月〜1年 ③ 回復期 動きが戻る時期 数か月 エコーで炎症の状態を確認し、現在どの時期かを見きわめます

時期によって「すべきこと」が変わります。炎症期に無理に動かすと悪化するため、がんばる時期は②拘縮期からです。

5. 時期ごとの治療

エコー z z Z ① 炎症期:エコーガイド下注射
エコーで確認しながら、炎症を起こしている場所(赤)へ薬を正確に届けます。まず夜眠れる状態に戻すことを最優先します。
痛み ② 拘縮期:サイレント・マニピュレーション
麻酔で腕の痛みを一時的に止めた状態で、縮んだ関節包を医師がゆっくり動かして広げます。切開せず外来で受けられる治療で、リハビリを続けても硬さが取れない方の選択肢です。

③回復期はリハビリが中心です。どの治療も、その後のリハビリと組み合わせることで効果を発揮します。

6. 夜の痛みをやわらげる寝方

あお向け:腕の下にタオルや枕 腕が体より後ろに落ちないように支えます 横向き:痛い肩を上にして抱き枕 腕をあずける場所を作ると楽になります
オレンジ=痛い側の腕、緑=タオル・枕。夜間痛のつらい炎症期に、今夜から試していただけます。

7. ご自宅でのリハビリ

① 振り子運動(炎症期〜) ② テーブルスライド(拘縮期〜) ③ 棒体操(拘縮期〜回復期)
入浴後の温まった時間に 1回30秒 × 3回 「伸びて気持ちいい」程度まで 反動 反動はつけません
痛い側の腕は力を抜き、重力や反対側の腕に手伝ってもらうのがこつです。詳しいやり方は診察・リハビリの際にご指導します。

8. 大切なことは3つです

1痛みの強い時期は
無理をしない
炎症期のストレッチは逆効果です。まず注射やお薬で炎症を鎮めます
2硬い時期は
毎日ストレッチ
入浴後に、「伸びて気持ちいい」程度を毎日続けます
3自己判断で
中断しない
放置すると動きの制限が残ることがあります。経過はエコーで確認していきます
日本整形外科学会「五十肩(肩関節周囲炎)」 お渡しした冊子と同じ内容を学会の公式ページでもご覧いただけます(外部リンク)

コメント